マンホール最大手に立ち入り | ザッツ!談

マンホール最大手に立ち入り

マンホール製造最大手を立ち入り検査
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20051213/K2005121302180.html


「なんだこの部屋は」2階の社長室に踏み込んだ公正取引委員会のメンバーは息を飲んだ。社長室とドアの上に書いてあるその部屋は窓も無く、家具もない。ガランとした床の真中にマンホールがひとつあるだけだった。
「ここしかない。」
「そんなはずはここは2階ですよ。」
「じゃ他に何があるんだ」
「開けてみましょう」
重い蓋を大人二人で横にずらし中をのぞいた。
「暗いな。懐中電灯をかしてくれ」
懐中電灯で照らすと今いた部屋よりひとまわり小さい部屋があった。やはり何も無い部屋で、床の真中にマンホールの蓋があった。
「そんな馬鹿な。この場所は下の事務所のはずだ。」
「開けてみよう。」
次の部屋もまたひとまわり小さい同じ部屋でマンホールの蓋が同じ場所にあった。
その次の部屋も、そのまた次の部屋もそうだ。
10階下まで降りた。
大人が中腰で二人なんとか入れる大きさの部屋になった。
マンホールの蓋をずらした。
真っ暗な狭い部屋の中には太った小男がいた。
「社長の田中だな。」
「・・・・」
「田中だな」
「・・・・」
男は背中を向けるとゴソゴソ動き出した。
「こいつの下にマンホールがあるんだ。逃げる気だぞ」
しかし遅かった。男はマンホールの蓋をずらすと穴に飛び込んだ。
床に着地する音もなく、そのままなにも聞こえなくなった。
「降りるか。」
「いや、やめましょう。」
「そうだな。」
穴の上を見上げると
一番上の部屋でさっきの男がマンホールの蓋を閉めようとしているのが見えた。