故人のDNAを木に保存する | ザッツ!談

故人のDNAを木に保存する

故人のDNAを含む木を「生きた墓標」に
http://news.goo.ne.jp/news/wired/it/20051108/20051108201.html


亡くなって間もない愛する人のDNAを木に注入し、その木を生きた記念碑に。
死後も人間のDNAを生き続けさせる方法として英バイオプレゼンス社が考案。



先週交通事故で死んだ恋人のDNAをこのリンゴの木に注入した。それから毎日ここへ来てあの人と話をする。といっても木は何も言わない、わたしが一人でしゃべっているだけ。でも、あの人がそばにいる、そんな感じがするの。


春になった。いつものようにリンゴの木の下に座ると風が吹いた。緑の葉がざわめいた。『ザワザワザワ、アイシテルヨ』風にゆれる葉の音が声に聞こえた。あの人の声だ。また風が吹いた『ザワザワザワ、ゲンキカイ』奇跡が起きた。


その日から、風の吹く日は彼の声が聞こえるようになった。でも、ほんとうは気のせいかもしれない。聞こえる声は”アイシテルヨ、ゲンキカイ、ゴメンネ”の3つしか聞こえない。他の人には聞こえないのかもしれない。


夏になった強い日差しの日も、リンゴの木の下に座って話し掛けた。強い日差しで地面に写った陰は彼の姿だった。振り返ると彼がそこに立っていた。一瞬で姿は消えた。眩しい日差しで幻をみたのかもしれない。でも、嬉しかった。


冬がきた。リンゴの木は大きな実をたくさんつけた。

変わったリンゴだった。

実には全部彼の顔が写っていて、笑っていた。